連載コラム

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2023年09月15日

なでしこリーグのSDGs もう一つのゴール JFAアカデミー福島編

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JFAアカデミー福島は、中高一貫教育による長期的視野に立ち、サッカーを通じて「先頭に立って社会に貢献するリーダー」を育成することを目指しています。本来は福島県のJヴィレッジが拠点ですが、東日本大震災の影響により、2011年4月から静岡県に一時移転しています。全寮制の生活は、ピッチ内外で選手たちに貴重な経験を提供してきました。富士山ツーリズム御殿場実行委員会の開催する富士山環境教育トレッキングもその一つです。

JFAアカデミー福島(女子)は2024年4月に中学校・高校の6学年揃って福島県に帰還する予定となっています。最後の年度となった2023年は、7月26日に富士山自然休養林ハイキングコースを歩き、清掃活動をすると共に講習プログラムを体験しています。参加したのは中学1年生と2年生です。

富士山にはいくつかの登山口があり、たくさんの人が山頂を目指します。御殿場口もその一つです。「富士山御殿場口新五合目」には「Mt.FUJI TRAIL STATION」(マウントフジ・トレイルステーション)があります。富士山環境教育トレッキングでは、選手たちが、ここを起点に幕岩を経由して二ツ塚下塚(双子山)を目指します。

日本の象徴ともいわれる「世界文化遺産」富士山を歩く一日は一生の思い出になります。そして、これから海外遠征等の国際交流に頻繁に参加することになるであろう選手たちにとって、国外の選手に伝える「日本の自然、歴史、文化」を知る重要な機会にもなります。

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二ツ塚下塚(双子山)を目指す

御殿場ボランティアガイド協会員・川口勇雄さんの解説を聞きながら、選手たちはハイキングコースを歩きました。講習プログラムは多岐にわたります。例えば、御殿場口から富士山頂を目指す登山道では、荒地で育つパイオニア植物(先駆植物)などの森の始まりや森林限界を目にすることができます。1707年の宝永大噴火によって、このあたりの全ての植物が火山礫や火山灰に埋もれ死滅し、300年をかけて再生している途中だからです。また、外来種の影響についても学びます。

今、富士山では、どのようにして、これまでの姿を保全し未来に継承するかが問題になっています。なぜなら、登山者が増加したことにより、富士山には衣類や靴などに付着した種子が多く持ち込まれるようになったとみられているからです。外来種の繁殖が続くと、本来生息するはずの高山植物が減少し、富士山の独自の生態系が崩れる恐れがあるというのです。登山道を歩きながら、新たな知識との出会いが続きます。

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清掃しながらハイキングコースを歩く

若月りる葉選手は中学2年生です。静岡県富士市の出身ですが、初めて富士山を歩きました。二ツ塚下塚(双子山)から、駿河湾や伊豆西海岸、山中湖をのぞむ雄大な景色に驚きました。しかし、同時にゴミの多さにも驚いたと言います。

「小学校で、なぜ富士山が『世界自然遺産』に認定されなかったのかを学びました。理由の一つは産業廃棄物やし尿の入ったペットボトルが大量に放置されていたことです。富士山環境教育トレッキングでは、ゴミ収集の為に登山者一人ひとりにごみ袋を配布していますが、ペットボトルのラベルや蓋、ガラスの破片がいまだに落ちていて、ゴミがなくなっていないことがわかりました」

「Mt.FUJI TRAIL STATION」に戻るまでに、持参したゴミ袋には、たくさんのゴミが溜まりました。

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雄大な景色を背景に記念撮影

富士山麓には豊かな自然が広がります。「この環境を自分たちの世代も引き続き守っていこう」と思えたことが、選手たちにとって大きな収穫となりました。この日の学びが、これからの生活の中できっと生かされていくことでしょう。

Text by 石井和裕

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