連載コラム

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2021年08月05日

日本全国なでしこリーグの街を訪ねて NGUラブリッジ名古屋編

名古屋市は中部地方最大の都市。日本の東西をつなぐ要所です。名古屋港は自動車産業を世界と結ぶ玄関口。日本の「ものづくり産業」の物流を支えています。大規模な名古屋港の一角にあるのが、砂漠のオアシスのように広がる国指定鳥獣保護区・ラムサール条約湿地・藤前干潟。そのお隣に、名古屋市港サッカー場があります。今回は、NGUラブリッジ名古屋のホームゲーム開催日に名古屋市港サッカー場を訪ね、NGUラブリッジ名古屋を盛り立ててくださる皆さんのお話をうかがいました。

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名古屋駅前のナナちゃん人形

この連載では、なでしこリーグ1部で戦う全クラブのホームタウンを探訪します。各クラブを支えてくださる皆さんのお話をうかがい、地域で活躍する選手の姿を捉えます。アマチュアリーグであるなでしこリーグの存在意義、そして、選手が地域の皆様に応援していただける理由を感じられると思います。ぜひ、最後までご覧ください。

可愛いユニフォームで応援!女性やビギナーに、なでしこリーグをお勧めしたい 株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC) 田中里奈さん

この日の試合のマッチスポンサーは株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)でした。試合前、試合後にセレモニーが行われました。

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濵田百華選手の表彰セレモニーに登場した代表取締役 社長執行役員 畠賢一郎さん

株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)はNGUラブリッジ名古屋のトップパートナー。再生医療メーカーです。自分の細胞を使って怪我や病気を治す医療製品を提供しています。事業のPRを兼ねて『一緒に踊ろう! 軟骨コツコツ体操(NGUラブリッジ名古屋編)https://youtu.be/KRh34vBtSJY』動画をYouTubeに発表しました。膝の怪我が多いとされる女子サッカー選手とコラボレーションして、膝のケアを呼びかけています。

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軟骨コツコツ体操のポーズで 営業部 営業企画 田中里奈さん

NGUラブリッジ名古屋とのパートナー業務を担当しているのが、営業部 営業企画の田中里奈さんです。NGUラブリッジ名古屋の魅力をお聞きしたところ、第一声は「可愛らしい」という言葉でした。選手の内面から出てくる愛嬌、ひたむきにサッカーに向かっている姿を見ると、応援したくなるのだそうです。

「ユニフォームも可愛いし、力強くてカッコ良いので気に入っています。可愛いな、応援したいなって思えるところが魅力です。ついつい下の名前で呼んでしまいます」

『一緒に踊ろう! 軟骨コツコツ体操(NGUラブリッジ名古屋編)』動画は練習グラウンドで撮影されました。田中さんにとって、印象深かったのは髙島瑠里子選手だそうです。「統率力があり、選手の方々をまとめていただきました」

もう一人、名前が挙がったのは田島光代選手です。「田島光代選手は、動画撮影の前に、何でもやりますよ、と言ってくださりました。それで、動画の導入部分を彼女にお任せすることになり、動画の主役になっています。彼女には、すごく助けられました」

また、社会人生活が長くなると、忘れがちな、礼儀やマナーの基本を、もう一度、思い起こす撮影になったそうです。NGUラブリッジ名古屋の選手は、どの選手も必ず笑顔で挨拶してくれます。これもまた、スポーツの素晴らしいところの一つです。

最後に、田中さんに「同性のサッカーファンになでしこリーグをお勧めできる?」と聞いてみました。すると、予想以上に力を込めて答えが返ってきました。「お勧めできます!男子サッカーの方が力強くて速いですけど、女子の方が緻密で、ボールの動きを目で追える場面も多い。流れについていきやすいです。女性やビギナーにすごく良いと思います。生で観戦すると、気持ちの入れ方が変わると思いますよ」

選手と近い世代の担当者が、頼れるパートナーとしてNGUラブリッジ名古屋を盛り立てています。

コミュニティができ、輪が広がっていくのがボランティア活動の面白いところ 三浦明さん、村田有里さん

愛知県サッカー協会4クラブ連携「あいちフットボールフレンズ」プロジェクトをご存知でしょうか。愛知県サッカー協会に所属する名古屋グランパス(男子サッカー)・名古屋オーシャンズ(男子フットサル)・NGUラブリッジ名古屋(女子サッカー)・ユニアオレディース(女子フットサル)の4クラブが連携して、フットボールを愛する方の輪を広げていくプロジェクトです。その活動の一つに、ボランティアスタッフの連携があります。

「あいちフットボールフレンズ」を通じて、多くのグランパスボランティアの皆さんが、この日の試合運営に参加していました。

グランパスボランティア.jpg
グランパスボランティアの皆さん

三浦明さんは勤務する自動車メーカーの社内に掲出された募集告知を見てボランティア活動に応募。名古屋グランパスのボランティア活動を2年間皆勤しています。

三浦さんに「ボランティア活動の楽しさ」を質問すると、ちょっと意外な回答がありました。「楽しいか?と言われれば楽しくはないですよ(笑)。ただ仲間がどんどん増えていく。コミュニティができて、輪が広がっていくんです。だから、知らない業種の方と話ができるし、困った時に相談できる」

村田有里さんはNGUラブリッジ名古屋のサポーターです。娘さんは、NGUラブリッジ名古屋の前身の名古屋FCレディースでプレーしていました。父母会の会長を務めたこともあります。

NGUラブリッジ名古屋の運営ボランティアには、選手の保護者が多数参加しています。皆さん、一所懸命です。ただ、ボランティア活動をしていると、娘さんの試合を観戦して応援することができません。村田さんは「保護者には試合を見てほしい」という想いを抱いてボランティア活動に参加します。「もっとボランティアスタッフが増えれば、保護者は試合を見られる」というのです。

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三浦明さん(左)、村田有里さん(右)

名古屋グランパスの試合にボランティア活動で関わる、お二人に、NGUラブリッジ名古屋の試合はどのように見えるのでしょうか。「言葉で表現するよりも、まず見て!って、感じですね。見てもらえば、楽しさが解ると思います」と村田さん。自らもプレーを続けてきた三浦さんはこう言います「レベルは、見ていない皆さんが思っているより高いと思います。こんなに可愛い子がこんなに上手いんだ......スッゲェなぁって思っちゃいます。皆さん、どんどんスタジアムに来てほしいですね」

ボランティアスタッフの皆さんは、ホームスタジアムでの新たな出会いを楽しみに、NGUラブリッジ名古屋のホームゲームに通います。

「出張手当」「勝利給」「引き分け給」も!! 株式会社河村工機製作所 代表取締役社長 藤本徹さん

最後に紹介するのは、NGUラブリッジ名古屋のトップパートナー・株式会社河村工機製作所(以下:河村工機製作所) 代表取締役社長 藤本徹さんです。藤本さんはホームゲームもアウェイゲームも駆けつける社長として知られています。新型コロナウイルスの影響で観戦に制限がない試合は、ほぼ全てスタジアムに駆けつける熱きパートナーです。

河村工機製作所は自動車部品を加工している企業ですが、ホームページを見ると「新着情報」にNGUラブリッジ名古屋の情報ばかり。これは、どういうことでしょう。「あれは、一生懸命、私が入力しているんです(笑)」と話す藤本さん。NGUラブリッジ名古屋の、どのファンサイトよりも頻繁に試合の情報が掲載されているように感じます。藤本さんは「会社に新着情報がないから」と冗談を言いますが、ここまで、社長自らが熱心に掲載するのには理由がありそうです。

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河村工機製作所のホームページ新着情報

「自分で見てきた試合を報告しようということで載せています。親の気持ちですよ。自分の娘が活躍してくれれば、そりゃ嬉しいじゃないですか。」と、スーツ姿で静かに語ります。河村工機製作所には、4人の選手が働いています。「どの選手も娘のようです」と藤本さんは言います。でも、同時に、大切な社員です。仕事は厳しいながらも、社内の制度で選手を応援しています。

「アウェイに行くときは、選手に出張届を書いてもらっています。それで、冗談で『本当に出張に行っているかを俺は見にいくぞ』と言いながら、アウェイに顔を出しています(笑)」実は、河村工機製作所で働く4人の選手は、アウェイゲームでベンチ入りすると、出張手当がもらえるのです。

出張手当だけではありません。NGUラブリッジ名古屋の試合結果に連動して、4人の選手の夏冬のボーナスに「勝利給」と「引き分け給」が加算されます。こちらはベンチ入りしなくても加算されるのだそうです。「そういうところからも競い合う気持ちに繋がってくれれば良いですね」と藤本さん。

藤本さんの言葉の隅々に、そして、ウェブサイトの表現には、自分の娘のような選手たちへの愛情がありました。試合中は、選手の姿を暖かな目で見守ります。「同じ職場の社員が、全国レベルの女子リーグで頑張っているところが、全社員のモチベーションにつながっていく」と、藤本さんは言います。NGUラブリッジ名古屋の勝利が、河村工機製作所の「ものづくり」を後押ししています。

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株式会社河村工機製作所 代表取締役社長 藤本徹さん

この日の試合は0−0のスコアレスドロー。しかし、手に汗握る熱戦に、スタンドから選手へ、大きな拍手が贈られました。翌日に頂いた藤本さんからのメールには「試合の方は残念ながら勝つことはできませんでしたが、先発メンバーにうちの子(社員)が3人初めてそろいよかったです」と書かれていました。藤本さんの笑顔が思い浮かびます。

今回はNGUラブリッジ名古屋のホームゲーム会場を訪ねました。

Text by 石井和裕

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